瀬戸内工進曲

中村時広

中村時広

 このたび、坊っちゃん劇場第14作目となるミュージカル「瀬戸内工進曲」が上演されますことを、心からお喜び申し上げます。

 本作は、明治時代、別子銅山の煙害問題の解決に取り組む親子の挑戦と家族愛がえがかれた創作作品であり、登場人物たちのさまざまな思いが交錯する奥深い人間ドラマとなっており、周囲の反対を受けながらも、確固たる信念の下、100年先の未来を見据え、困難に立ち向かっていく父と子の姿は、見る人に勇気や感動をもたらしてくれるものと存じます。

 また、今回の作品は、住友中興の祖と言われる伊庭貞剛がモデルとなっておりますが、その舞台となった新居浜市を含む東予東部圏域では、平成31年4月20日から約7か月にわたって地域振興イベント「えひめさんさん物語」が開催されます。イベント期間中には、四国山地の「山々」とその恵みによって生まれたものづくり産業をテーマとしたさまざまな催しと本ミュージカルを一緒に楽しんでいただければ幸いです。

 終わりに、本公演の御成功と、坊っちゃん劇場のますますの御発展を祈念申し上げます。

石川勝行

石川勝行

 今回坊っちゃん劇場で上演されます「瀬戸内工進曲」は、江戸(元禄)時代に開坑した別子銅山を題材にした演目でございます。地域拠点型劇場の第14番目の作品として新居浜市の別子銅山を取り上げていただくことは誠に光栄なことと存じます。

 さて、明治期の別子銅山に多大な影響を与えたのは、住友初代総理事広瀬宰平と第2代総理事伊庭貞剛でした。今回その伊庭貞剛翁をモチーフとして、近代化を成し遂げる一場面を背景に激動の時代の中で織り成す会社愛、家族愛、地域愛などをフィクションで創作し、各世代が楽しめるミュージカルとなっています。

 新居浜市の別子銅山産業遺産は、物理的なものだけでなく、後世に残すべき崇高な精神性を併せ持っています。この機会に是非ご覧いただき別子銅山に関心を持っていただくとともに、実際に足を運んでいただく契機になれば幸いです。

 本作品が愛媛の歴史文化の発信の一助になることを祈念申し上げます。

羽原大介

羽原大介

 新居浜を舞台に、百年の時を超え色あせない恋と青春の物語です。 「“よろこびのうた”に負けない作品を」とプレッシャーも感じましたが、演出の錦織さん、音楽の岸田さん初め頼れるスタッフ陣を信じ、思い切って書くことができました。笑って泣いて、誰もが胸にしまっている『大好きだったあの人のこと』を思い出してもらえる作品になれば……。どうぞ最後までごゆっくりお楽しみくださいませ。

錦織一清

錦織一清

 その日あいにくの小雨日和ではあったが、私は新居浜の別子銅山にいた。天空の町、東洋のマチュピチュと称されているその場所から見た瀬戸内海の眺望は、新たな芝居に着手する私の気持ちを、期待と不安のその向こうに広がる、達成という大きな喜びへと誘(いざな)うのだ。

 昨年に引き続き、本年度また演出をさせて頂く事となり、愛媛の皆様には心より御礼申し上げます。今年は桜の時期からの四国での生活に、この自らの楽しさを作品に反映できればと、この原稿を書いている東京の自宅で、既にシャドーボクシング(準備運動)を始めています。決して空振りに終わらぬよう、楽しい作品をお贈りしたいと思います!ご家族揃ってのお越しをお待ちしています。

岸田敏志

岸田敏志

 昨年の「よろこびのうた」に続き2作目になります。ニッキと羽原大介さんとのタッグも3作目。お二人の才能に引きずられて財産になる曲たちがまた生まれてきました。そんな作品にまた参加することが出来て本当に光栄です。今回は新居浜別子銅山のお話し。明治時代の話ですが、おりしも新元号元年の作品になりました。裕福な家に生まれた青年と身分の違う家に生まれた娘の恋。羽原さん得意分野のお話にニッキの独特な世界観で演出される泣き笑い。人情と平穏の庶民と日本を良くするために戦う企業の葛藤と対立、そのはざまに生まれ落ちた恋のよろこびと悲しみ。観劇下さる皆さんの揺れる気持ちの答えになるような歌を書くつもりで作りました。どうぞごゆっくりお楽しみください。